3月12日。私にとってとても特別だったお仕事が大千秋楽を迎えました。

切迫早産で半年間の絶対安静の末…気力のみで次男出産。

その数ヶ月後、お声がかかったお仕事でした。

3歳と産まれて5ヶ月の首も据わらない兄弟を抱え、仕事は当分スローペースだなと思っていた矢先。

悩みに悩み、でもどなたかと同じで…『他の人がやったら後で絶対後悔する…』という気持ちがありました。

先方に、子育て真っただ中(一番大変な時期)だということ。
場合に寄ってはご迷惑をかけることもあるかもしれないと言うことをお伝えし、ダメだったらご縁が無かったと思おうとしていたら、それでも!とお返事戴き、子守り要員の実家、夫に相談し、次に衣装制作経験者のプロで賢く頼れる友人に連絡し、相談したところ

皆様から力強いお返事を戴き、決意致しました。

子育てを言い訳にしては絶対にならん!

それでなくても限られた時間。このタイトスケジュールの中でも、

『一点の悔いも無く制作する。』

これだけは貫き通す!と決めていました。

子供達を寝かしつけ、暗がりの豆球の下で、息子のらくがき帳に4B鉛筆(暗がりでも見える濃さ)で描く事から始まりました。

幼児や乳児は、母親が離れようとするとセンサーが付いているかの様に反応して号泣して起きるので、布団を離れられないのです…。

『今の私しか作れないものを作ろう。』

私は、芸大の染織学科、テキスタイルデザインを学び、そこから着物の世界に数年いました。

なので、この素材とこの素材を組合わせたら面白いだろうな。とか、
この地紋の上にこのデザインを染めたら良い相乗効果になるだろうな。とか、
アタマで巡らせつつ。

着物の世界で図案も学んだので、着物や和柄の柄配置の黄金律のようなものが何となく分かっていたりで、今までの自分をフルに生かして何枚も何枚も描きました。

素材は、オリジナルテキスタイル、ファー、合皮、特殊な絞り生地、木製ビーズ…

授乳しながら、子供の相手をしながら、家事をしながら、ずーーーーっと頭で構築して、夜中に描き出す作業を繰り返しました。

そこから、次男を抱いて自転車で染め工場、制作アトリエ、生地屋を往復する日々。

素材選びは、その場で直感で買いそろえ、1点しか作らないのであれば、じょうぶな生地で、縫いはプロ中のプロの装束屋さん。細かい装飾は制作アトリエで。

全て一発本番で、染め直し、縫い直しをしている時間すら無い。

けれども、衣装制作の現場でも、偶然という必然。ミラクルが重なりました。

短期中の短期決戦だったのにも関わらず、こだわってこだわったのに、怖いほどに上手く進みました。

突然の呼び出しや使用もあり、ギリギリで組んでいたスケジュールも覆り、物理的に無理だろうと思うこともありましたが、

これから出会う役者さんに想いを馳せ、諦めてたまるか!!!!と思い制作をしていましたよ。

時代に添ったものでなく、でも離れすぎず、アバンギャルドに面白く。

『あれ?あの衣装面白いな。どうなってるんやろう?あの素材なに??』

そんな風に思って、誰かの心に残る衣装になっていたら有難いなと思います。

普段は、制作して美術館やギャラリーなどに展示して観て戴くパターンが多く、自分の手がけた物を人が纏って扮すること。そして、その役者さんたち壮大なストーリーを演じられることはとても新鮮で、ドレスリハーサルの時は、感慨深く感動し、嬉しさでいっぱいでした。

公演が始まってからは、毎日天気予報を気にし、公演時間になったら「あ!始まったな!!」と思い、衣装大丈夫かな?役者の皆様、スタッフの皆様体調どうかな?と1人で勝手に気にかける日々。

とある役者さんに、
『あの衣装、感動しました。』
と言って戴けて、もう感無量でした。

でも、あれでよかったかな?と実は今も思っています。

学ぶことだらけで、たくさん勉強させて戴きました。

感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、ずっと制作中構えずに、我慢をさせていた息子が、この舞台の大ファンになり、通い詰めてくれたこと。

終演した今でも歌い続けていてくれることは、救いです。

舞台の後半、皆様の優しさに甘えて子連れでお邪魔して、現場の皆様の団結力と仲の良さを知り、本当にこの舞台の衣装に関われて、一員でいられて良かったと思いました。

また、ファンの方が撮りためて下さっていた見事な写真の数々は、私の宝です。


心から有難うございました。


おかんちゃん時々デザイナーから、一気に感覚を取り戻し、仕事現場に押し上げてくれた仕事。
このお仕事で学んだことを、ご縁で出会えた奇跡を次々と生かし、素敵な仕事をして行きたいです。


ママチャリの前と後ろに小さな兄弟を乗せ、

「せかいにーーむーかーあってぇぇえぇえええええー!!!」

と子供と歌いながら、京都をひた走っているオカンちゃんデザイナー、また皆様に会いたいです!


長々、有難うございました。

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